BIMで建築が夢をみる

#54 スマートビルをビジネスにする

IoT(Internet of Things)という、ありとあらゆるモノをインターネットで繋ぐ技術を用いて建物をスマート化するビジネスが現実のものとなりつつあります。国内と海外の事例から紐解いてみましょう。

スマートビルの構築ノウハウを提供する新事業

1月29日に各メディアで『ソフトバンク、竹芝に移転 IoTで「スマートビル」構築 WeWorkがオフィスデザイン』というニュースが流れました。ソフトバンクグループとソフトバンクが東急不動産が竹芝(港区海岸一丁目)に開発中のビルに2020年中に本社を移転する』というものです。

ビルの外観イメージ(ソフトバンク提供)

ビルのテラスやフリースペースなどにカメラやセンサーを設置して温度や湿度、二酸化炭素濃度、ビル内や周辺の人流データ、混雑情報などをソフトバンクのIoTプラットフォームで収集してリアルタイムで解析します。それらのデータは、トイレやフリースペース、飲食店の混雑情報などをWebサイトやサイネージなどで訪問者に提供するほか、警備員の効果的な配置や設備点検の効率化などに役立てます。

顔認証システムをセキュリティーシステムと連携させ、社員がICカードなどをゲートにかざすことなくスムーズに入館できるようにし、映像解析で不審者や異常な行動が検知した場合は、屋内位置情報システムを活用して近くにいる警備員に状況を自動的に通知します。

合わせて、このプロジェクトで手に入れた知見を基にスマートビル事業を展開する計画を進めるとのことです。ソフトバンクはビルの所有者向けにスマートビル構築を提案、東急不動産はスマートビルの構築ノウハウを他の物件にも展開していきます。

最も注目できるのは、ビルの入居者に、これらのシステムを利用し、情報を活用できるAPI(※)を提供することです。これによって入居者は、自社専用のシステムを構築し、ビルの挙動と連動して業務をスマート化できるわけです。

※参照:API:Application Programming Interface
あるコンピュータプログラムの機能や管理するデータなどを外部の他のプログラムから呼び出して利用するための手順やデータ形式などを定めた規約のこと。

エントランス付近の混雑予測による最適な通勤時間の提案(ソフトバンク提供)

ビルのスマート化をあらかじめワンパックで提供するビジネスモデル

このニュースを知って間もなく、海外での事例を紹介する情報『企業内に便利なモバイルイントラネットをセットアップするWorkwell(※)、ヨーロッパ最大のオフィスビル企業も利用』が飛び込んできました。現在、ある方を介して直接、取材する方策を講じています。

このWorkwellという会社のサービスは、ソフトバンクなどの「APIを提供」のもっと先を行っています。スマホのアプリも含めて、入居者にイントラネットをワンパックで提供するものです。

『たとえば、レストランの予約をする、ライドシェアのシェア相手を見つける、オフィスのフロアマップを見る、会議室を予約する、エアコンを操作する、などなど。それに、ランチ配達サービスもこのイントラネットから呼べる。』単なるシステムを提供するのではなく、さまざまな出会いの機会を提供し、空間と時間をシェアするというコンセプトです。

BIMのその先にあるものとして、既存の建築業にICTを挿入、撹拌して新たな事業ドメインを創ると言い続けてきました。これらの事例は、そこに至るヒントを与えてくれています。設計や施工という建設業内部の革新のためにBIMを用いるのは当然として、そのようにして構築された建物のデータベースは、IoT(Internet of Things)との親和性をベースに、建物のスマート化に貢献できるからです。言葉を替えれば、ビルのスマート化には、BIMによるデータベースが必須なのです。

我が国の建設会社、設計事務所はWorkwellのような力量を持っているはすです。そのためにも前段としてBIMは必須となるはずです。

※参照:Workwell

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