BIMで建築が夢をみる

#50 GLOOBEによる建築確認申請の実践を深掘りする

建築系の複数のメディアでも紹介され、筆者が連載中の日刊建設工業新聞の「BIMのその先を目指して」でも報告しましたが、福井コンピュータアーキテクト、「GLOOBE」ユーザー会「J-BIM研究会」のBIM申請分科会、スターツCAMそして確認検査機関の日本ERIが協力して、建築基準法第6条第1項に規定されている劇場、病院、ホテル、共同住宅などの1号建築物(特殊建築物)の確認申請が実践されました。その意味するところを深掘りし、合わせて2019年ヘの展望も見据えてみましょう。

「GLOOBE」による確認申請が夢?!のようなことの背景とは

編集者としてキャリアをスタートしたのは、建築資料研究社・日建学院でした。基本建築基準法関係法令集の編集に参加した際です。条文が改定される度に、赤字ボールペンで朱書きをして印刷所に渡す訂正原稿としていました。アナログ的な作業が無駄に思えた時、米国のパソコン雑誌でDTP(Desktop publishing)のことを知りました。DTPは、手描き図面を電子化するCADのようなもの。そんなことからコンピュータに興味を持ち、建築分野のコンピュータ利用の研究、取材活動にのめり込んだのです。

法律の条文は、極めて公共性が高く、国民全体の財産ですから著作権は有しません。そのため全条文を電子化して利用しても問題はありません。そんな面倒なことをする人はいないだろう。「法」だけで、「施行令」はしませんでしたが、実践した方がいたのです。世田谷区の建築指導課の主事の方で、電子化した「法」を、セイコーエプソン子会社であったAI softのエキスパートシステム構築ソフト「創玄」に載せて「建築基準法データベース」として駆動させたのです。

後に編集制作に参加した「A∩C:建築とコンピュータ」誌では、日影計算プログラムの横並び評価もしました。同一建物で同一敷地条件なのに、ソフトによって若干、異なる結果が図示されるなど、ユニークな試みでした。

そして今回の「GLOOBE」の3次元BIMモデルによる1号建築物の確認申請の実現です。往時を考え、先日の苦労を振り返ると、夢のようなことが起こりました。

19年はBIM導入の実利追求と共に次なる夢への起点とすべき

「GLOOBE」の3次元BIMモデルによる1号建築物の建築確認申請は、夢の実現であると共に、コンピュータ利用の最も実利的なメリットを明らかにしたものです。一面では、法律で規定されたmust=せざるを得ない作業である確認申請を大いに軽減できるからです。2019年からのBIM運用は、いよいよ、いかにして実利を手にするのかという段階となったともいえます。

7月4日に日建連から刊行された「施工BIMのスタイル 事例集2018」を読み解くと共に、講演会などに出席して明らかとなったのは、BIM導入が、推進室などの先導的な部署から、現場レベルに移行しつつあることです。干渉チェックなどによる「見える化」と関係者間の「合意形成」は明確に実利として捉えられており、一度、BIMを使うと、次もBIMで施工することになるのが当たり前となっています。BIMは、明らかに実利を求めて導入する普及期に入ったといえます。

2020年の祝祭に続き、2025年の大阪万博開催が決まりました。人手不足など喫緊の課題を抱えながら、建設業は、変革に向かって、数年程度の猶予をもらえました。2019年は、BIMによる実利を追求すると共に、それらの経験をベースに、建設業の本格的なデジタル化、新たな事業ドメインへの革新へと向かう起点とするべきでしょう。

「GLOOBE」による建築確認申請の概略図(提供:スターツCAM)

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