BIMで建築が夢をみる

#39 「BIMは普及期を終えつつある」との判断を後押しする貴重な情報について

日刊建設工業新聞紙上などのBIM関連の記事において、「BIMは離陸して巡航高度に至った」として、「普及期を終えつつある」と述べてきましたが、実務者の手による実務者のための「施工BIMのスタイル事例集2018」刊行で、それが実証されたとも考えています。

「施工BIMのスタイル事例集2018」は、日本建設業連合会建築生産委員会IT推進部会BIM専門部会が編纂したもので、すでに7月4日付けで、公式サイト上で公開されています。掲載数は元請が18社で、専門工事業者については鉄骨FAB4社、設備サブコン4社、昇降機メーカー2社、鉄骨階段メーカー2社、サッシメーカー4社、金属建具メーカー1社、金属製品製造2社、とび・土工1社と多岐に渡っています。事例数も前回「施工BIMのスタイル事例集2016」の元請+専門工事会社79から99事例と増加しています。個々の取組み事例ごとに成功要因、工夫点、効果、次回改善点、生産性向上への貢献度などを共通のフォーマットと図版を用いて読みやすく編集されています。

元請け(建設会社)の67%がBIM導入済みとの現況が語るもの

「施工BIMのスタイル事例集2018」で、最も注目すべきは、アンケート対象の日建連会員企業元請64社の内、施工BIMに取り組んでいるのが43社と67%に及ぶことです。確かに、日本建設業連合会(日建連)は、大手ゼネコンなど、規模の大きな建設会社などによって構成される一般社団法人であることから、それだけをもって、BIMが「普及期を終えつつある」とは、時期尚早との意見もあるかも知れません。

かつて2次元CADの普及期に、大手ゼネコンや設計事務所が、外部の協力組織でのCAD普及を積極的に支援したことがありました。一種の囲い込み政策でしたが、それだけ2次元CAD導入への切迫感が強かったからでした。BIMの導入と普及にも、同様のことがいえるでしょう。水は高い方から低い方に流れますから、産業としての建設業の構造を現実的かつ冷静に考える時、この67%がBIM導入という数値は無視できないはずです。

明らかとなった図面生成を上回るBIMモデル先行の優位性

BIMの導入が始まった頃、ユーザーの多くが2次元CADによる図面作成に重点を置いていたため、BIMの3次元モデルから、どのようにして図面を生成するのかを注目していました。そのためBIMベンダーも図面生成能力を競っていましたが、それらの課題が収束しつつあるのと同時に、関係者間の合意形成、干渉チェック・納まり確認、BIMモデル合意形成/承認などBIMモデル先行の優位性が明らかとなってきました。

「施工BIMのスタイル事例集2018」でのアンケート結果を見る時、前回の調査結果では、図面先行がBIMモデル先行を上回っていましたが、今回は明らかにBIMモデル先行が図面先行を凌駕していています。

BIMの3次元モデルの運用メリットは、当初、建築主への見える化、関係者間での見える化、技術者自身にとっての見える化として結実しましたが、最近では関係者間での合意形成の質的向上によって施工精度の改善や工数の手戻り削減など実利に直結し始めています。

それを裏付けるように、施工BIMの成功要因としては、「元請のリーダーシップと関係者の積極性」「取組み目的・スケジュールの明確化」に加え、「BIMモデル先行としたワークフローの実施」「建築主・設計者の参加による調整会議で合意」「大部屋方式による調整会議・関連工種の全員参加」などが挙げられています。

施工BIMの課題としては「教育、データの軽量化」「仮設ライブラリーの不足」などが挙げられ、期待としては「施工BIMによる生産性の向上を多くの作業所で実感」とされています。

◇出典:日本建設業連合会公式サイト「刊行物・資料」
 施工BIMのスタイル 事例集2018(PDFファイル)

BIMモデルの作成順位と目標達成度の関係

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