BIMで建築が夢をみる

#24 マニュアルって何かを考えてみる

BIMソフト「GLOOBE」では、バージョンアップに際して、ユーザーの意見を取捨選択して、取り入れる仕組みをもっていると紹介しました。具体的には、ユーザーの有志たちが集まるJ-BIM研究会で行われる「ユーザービリティ・テスト」がそれです。

今回は、「ユーザービリティ・テスト」の実際を語る前に、ソフトウェアに付属するマニュアルについて考えてみましょう。

筆者は、建築分野での編集を仕事としてきましたが、バリバリの文系で、BIMソフトで実務をしたこともありませんし、ましてやプログラムも書けません。それが、何でマニュアルの話を……。
実は駆け出しの編集者時代に、差別化を図るため、取り組んだのが、マニュアルなどの技術文書を編集するテクニカルライティングという仕事でした。家電メーカーの電気釜や冷蔵庫のマニュアルも編集していました。

そんな中で、その存在を知り、手を尽くして取り寄せたのがアップルコンピュータの「マニュアルを書くためのマニュアル」でした。英文ですが、とても優れたもので、大いに参考としたものです。
よくよく考えると、理にかなったやり方なのですが、アップルコンピュータでは、ソフトウェア開発とマニュアル編集が、相互に影響し合いながら、同時並行で行われていたとのことでした。言葉を替えれば、そのつど「ユーザービリティ・テスト」をしながら、ソフトウェア開発を進める。そんなことだと考えさせられました。

その参考書に書かれていたことで、ハッと驚かされたのが、マニュアルとは優れてソフトウェアの一部であること。ソフトウェア完成時には同時に完成していること。改善と合わせて成長していくことなどでした。

家電メーカーでは、マニュアルは、製品ができあがった頃から書き始め、一種の必要悪、致し方ない付属品のような扱いでもありました。そうか。マニュアルって、ソフトウェアの開発と並行して、その一部として作れば良いのだなと、目を開かれたものです。

かつてインターネットもなく、コンパクトにマニュアルなどのドキュメントを収録する手段もなかった頃、ソフトウェアを購入すると、それこそ電話帳のようなマニュアルが付いてきました。そして、こんなもの誰も読まないよなと、暗黙の了解を持ちつつ、作っていたものです。

今では、マニュアルを取り巻く環境も劇的に改善され、ソフトウェア自体に、操作などを教えるマニュアル的なナビ機能もありますし、インターネットで検索すれば、必要な情報も教えてくれます。

それでも、アップルコンピュータの「マニュアルを書くためのマニュアル」が示唆する哲学は活きています。BIMソフト「GLOOBE」が実践している「ユーザービリティ・テスト」と、その後の改善施策は、そのことを改めて思い出させてくれました。

イメージ:Windows10 Cortana(コルタナ)

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