BIMで建築が夢をみる

#12 シンガポールの「スマート・ネーション構想」を俯瞰してみる

シンガポールでは、国土を丸ごと3次元データベース化する「バーチャル・シンガポール(Virtual Singapore)」計画が進められています。東京23区ほどの箱庭のような都市国家というスケールメリットを逆手に取り、野心的な計画を着々と進めています。その「バーチャル・シンガポール」とは何かを、都市に住む一般的な住民視点から俯瞰できるのが、文末URLから参照できる「スマート・ネーション構想(Singapore’s ‘Smart Nation’)」です。

『Sensor mapping』を開くと、マリーナベイサンズホテルを中心に建物群が通信し合っています。自動運転車、歩行者などの交通を制御する信号機、突然のスコール情報、ごみ捨てのセンサー監視などが明示され、やがてある地域に建つ建物のBIMデータが視認でき、火災時の避難などへの援用が示唆されます。最後のスマホ画面には集合住宅の一室の避難経路が表示されています。

これこそがIoT(Internet of Things)からIoB(Internet of Buildings)へ、Connected CarからConnected Buildingへと都市環境を革新するイメージを具体化したものです。

『Smart traffic』では、自動運転車の挙動を説明しています。GPSとの通信で目的地までの走行距離が把握でき、あらかじめ空き状態を確認した駐車場に停められるし、料金も自動的に課金されます。全ての自動車の挙動が把握されているから、渋滞回避策も瞬時に講じられるわけです。

『Smart home』では、集合住宅のある一室がフォーカスされます。トイレの水が流されればリアルタイムで生活反応が把握できるように、主要な家電や住宅機器類にはセンサーが装備され、IoTによってサーバーに情報は送られビッグデータ化されます。配管の水漏れもリアルで、動的(ダイナミック)な施設管理が可能となるわけです。

5月4日放映のNHK BSドキュメンタリー「地球タクシー『シンガポールを走る』」に登場したドライバーは、自動運転タクシーに触れ、ロボットは嫌いだ、人間の方が優れているとうそぶいていましたが、職が失われる恐れも抱いてました。成功した開発独裁のような一面も潜在させ、プライバシー保護ひとつをとっても、これまで経験したことのないデジタル社会の課題も内包しつつ、「スマート・ネーション構想」への挑戦は続いています。

さて、僕(ら)の国は…と振り返ると、いまだに建築士試験に、製図板を持ち込んでという、ブラックジョークが続いています。お上を待っていても仕方ないでしょう。BIMでも、「できることは何でも始める…今でしょ!」です。

図版:スマートネーション構想を推し進めるシンガポール(夜景)

※参照:スマート・ネーション構想(Singapore’s ‘Smart Nation’)」

コラム更新お知らせメールのお申込み

コラムが更新された際にメールでお知らせいたします。
ご希望の方は下記フォームよりお申込みください。