BIMで建築が夢をみる

#09 建築とコンピュータに跨る領域を繋ぐインターフェイス役の出現

1990年代初頭の日経アーキテクチュア誌での建築CADに関連する連載での事例。bSJ施工小委員会の会合などで、最近、よく訪れる鹿島のKIビル。その一階に、かつてVIC(Visual Information Center)がありました。

ある時、青山通りに計画中の建物を主役としたCG動画を見せられました。BGMも入り、視線移動も、加速度の設定も見事な作品でした。コンピュータ能力も限られていた当時のこと、制作に数日を要したに違いないと聞くと、「動画制作は実質6時間」との返答でした。

CG動画の表現域にある建物を発泡スチロールで青山通りの両側に建てます。個々の建物のファサードを写真撮影し、それをデジタル変換して、Photoshopで加工、整形、正面部分に貼り付けていきます。その後、独自開発したモーション・コントロール・カメラで撮影するとの手法でした。当時は、苦肉の策でもありましたが、それでも、また、デジタルとアナログの組み合わせの可能性など、今に繋がる、多くのことを示唆しています。

一枚一枚の葉をリアルに表現して、それを貼り付けても樹木には見えず、ましてや、それを集合しても森には見えない。そんな京都五山のCGの紹介事例と同様に、3次元モデルを力技を用いて一分の一のリアルさで工学的に再現、運用するのと、アートの側面から「それらしく」「建築的に見える」ようにするのでは大きく異なります。

それらのことに象徴されるように、VICでは、「工学とアートの融合」を通じて建築らしさの追求を続けていました。そのためには建築だけでなく、映像表現や広告制作の世界からも人材を募っていました。

森羅万象を扱う建築だからこそ、意図的に、業種横断的に広く、開かれたアプローチを続けていたVIC。新たな職能としての「建築とコンピュータに跨る領域を繋ぐインターフェイス役」の登場を実感した瞬間でした。

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