BIMで建築が夢をみる

#08 見据えた現実を少しばかり先に進める先進的だということ

1990年代初頭に日経アーキテクチュア誌で建築CADに関連する連載を行っていました。当時は、2次元CADの普及期で、多くの方々が先駆的な試みを行っていました。

住友建設(現三井住友建設)の設計部を訪ねた時のことです。ディスプレイを見ると、幾重にも線分が重なり、真っ黒い塊のようなものが映っていました。担当者がコマンド操作すると、意匠、構造、設備と、それぞれのレイヤーが表示されました。当時は、使用できるレイヤー数が「256」に制限されていましたが、すでに2次元図面での干渉チェックを実現していました。

2次元図面が、表現としての図面の域を超えて、「2次元のモデル」ともいえる存在に変質していました。結果として出力するための図面が、干渉チェックなどによって設計効率と質の向上に寄与し始めたわけです。

更に、この「2次元のモデル」ともいえる図面(データ)は、利活用の幅を広げていきました。担当者は、設計部から施工現場に所員を派遣、両者をパソコン通信で繋ぎ、設計図面(データ)を施工図(データ)へと援用する方法を模索し始めました。

レイヤー数が「256」に増えたことの意味を捉え、レイヤー切替コマンドを開発し、干渉チェックを行えるようにしたこと。加えて、設計と施工の組織間の壁を突き崩して、流通性に優れるデジタルデータ(図面)の新たな利活用にチャレンジしたこと。

今、起こっている変化を的確に理解し、現実を少しばかり先に進めること。BIMの運用においても、単なるツールの導入だけに終わるのではなく、仕事のやり方や組織のあり方も再考してみる。BIMの普及期である現在にも適用できる優れた先進性です。

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