BIMで建築が夢をみる

#06 XYプロッタの出力時に鉛筆芯の濃淡(強弱)にもこだわった日建設計

写真は、ザイネティックス社のXYプロッタです。複数本の鉛筆芯をまとめたフォルダーが高速で移動し、製図していく方法を採用していました。「建築とコンピュータ」誌第2号で、「設計者はいつコンピュータ部を訪ねたか」と題した特集を行った際に、同社の東京本社において、XYプロッタが稼動する現場に立ち会いました。ここでの「鉛筆で図面を描く」ことがそれ以降、ある段階まで、建築におけるコンピュータ利用の隠れたテーマとなっていきます。

ザイネティックス社のXYプロッタ
出典:「建築とコンピュータ」第2号P25(旧建築知識)

鉛筆の芯は、描き出す線の太さに応じて複数種類が装着されており、それがそのつど交換され、作図していきます。日建設計では、線の太さだけでなく、濃淡表現にまでこだわり、微妙な筆圧調整をメーカーに要求していました。しかも保存性を重視して、用紙には「和紙」を使用していました。

それ以前に、メーカー側では、何故、鉛筆で描くのかが全く理解できなかったのです。米国ではインクペンが標準仕様で、日建設計のように、出力後に、加筆修正するとは思いも及ばなかったのです。この段階では、成果物はあくまでも「図面」であり、建物の電子データは「脇役」だったわけです。

日刊建設工業新聞の「BIMの課題と可能性」において、BIMの運用状況を確認する中で、すでに「作業としての製図は終わった」と少しばかり扇情的に宣言しています。BIMソフトの進化で3次元モデルから実施設計レベルの2次元図面が生成できるようになったからです。ようやく3次元モデルが「主役」であり、2次元図面は「脇役」という段階となりました。

確認申請のための図面出力の手前まで、設計の過程では一切、図面出力はせず、施主や専門工事業者との合意形成から設計変更まで全て3次元モデルで行うケースも増えています。3次元モデルでは一度、修正すれば、関連する図面も全て修正され、しかも整合性がとれるからです。まさに「図面チェック」に膨大な時間をさくという「作業としての製図」は終わりました。

ザイネティックス社のXYプロッタの稼働時から、ここに至る30数年の間に、「建築とコンピュータ」の領域では、革命的ともいえるパラダイムシフトが起こりました。そして、今、目の前で起こっている変化も、さらに大きなパラダイムシフトへの予兆を秘めているはずです。

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